COLLECTION

2023 Autumn/Winter

ノヴァーリス(1772-1801)
Novalis(1772-1801)
デューラーの「百合の習作」
"Studt of a Lily" by Albrecht Durer

「青い花」はドイツの詩人・小説家であるノヴァーリス(1772-1802)の作品であり、ドイツロマン主義の代表作のひとつです。主人公ハインリヒは12世紀後期から13世紀初期にかけての時代に生きた中世人の設定であり、遍歴を通して内面が成長していく様は錬金術的変容に例えられています。

ハインリヒは、ある夜、自分の家に泊まった旅人から不思議な「青い花」の話を聞き、あこがれを抱きます。その夜、夢の中に青い花が現われ、その花がいつのまにか優しい乙女の姿に変わります。 ハインリヒは、母とともに祖父のもとを訪れるために、アウクスブルクへ旅立ち、道々、同行の人から、物語や詩の話を聞き、ハインリヒにも詩心が目覚めていきます。一行は十字軍の騎士の居城で、東洋から捕虜として連れて来られた美少女トゥリーマの話を聞き、戦争の悲惨さやむなしさを知ると同時に、未知の世界、東洋に心を惹かれます。
また、洞窟に住む隠者ホーエンツォレルン伯を訪ねたハインリヒは、自分の過去・現在・未来の姿について書かれている書物を見せてもらい、驚きます。
目的地のアウクスブルクに着いたハインリヒは、祖父の家で、老詩人のクリングゾールと、その娘の「昇る太陽に傾く百合」のようなマティルデに会います。彼女の顔は、かつて夢に見た、青い花の乙女とそっくりであった為、ハインリヒはマティルデに愛を告白し、二人は婚約します。しかし、その夜、彼は不吉な夢を見ます。夢の中で、マティルデは舟をこいでいて、彼女は突然水に落ち、溺れそうになります。マティルデを救おうとした彼も溺れてしまうのです。ところが、不幸にしてこの夢は現実となって、マティルデは川で溺死してしまいます。
愛する人を失ったハインリヒは、巡礼者となってさまよい歩きます。ある日、山深い森の中で悲しみに沈んでいると、ふとマティルデの声が聞こえました。その声は、ハインリヒに琴を弾くように勧めます。琴を弾けば、ひとりの少女が姿を現わすというのです。そこで琴を弾くと、少女ツァーネが現われ、ツァーネに誘われて森の中の彼女の家に行った彼は、そこで死者たちの世界を訪れます。
やがて、死の国を出て、現実の世界にもどったハインリヒは、イタリアに旅行したり、戦乱に身を投じたり、ギリシアを訪ねたり、あるいは東洋に渡って詩と神秘とを学んだりします。こうして、さまざまな経験を積んだのち、ドイツに帰って華やかな宮廷生活に入った彼は、皇帝の信任も厚く、詩人として輝かしい栄誉を受けます。

作品は第二部の途中でノヴァーリスが亡くなった為、「青い花」は未完に終わります。

KENICHI ICHIKAWA Black Labelでは、ハインリヒが、洞窟の隠者ホーエンツォレルン伯に見せてもらった未知の言語で書かれた書物に着想を得、私自身の過去・現在・未来を錬金術の魔術的で、青い装丁の本に、架空の文字で綴りました。挿絵には現在の私の姿が中世風に描かれています。私の結末はノヴァーリスの死で中断された「青い花」と同様、未完です。
そして作品は、現在の私(52歳)のページ(52ページ目)が開かれています。
はたして鑑賞者の皆様は私のどのような未来を想像しますでしょうか?

White Labelでは青い花を肩に付け、錬金術の魔術的なテイスト、緩やかなロング丈の外套の一種(ウプランド)、チュニック型衣服(コット)、ロング丈の上着(シュールコートゥベール)などをデザインに落とし込みました。

"THEINRICH VON OFTERDINGEN
by Noverlis: in case of Kenichi Ichikawa"
ink and acrylic paint on a deluxe edition
ノヴァーリスの「青い花」(市川賢一の場合)
上製本にインク、アクリル絵具

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製

  • 素材:絹100% SILK 100%

    日本製